4か月掛けてSDR200をフルレストアする動画@シンガポール

シンガポールのLee Shau Chingさんによる粗大ごみSDR200の再生記録動画です。

パッと見はそんなに酷くもなさそうですが、アップで詳細を見て行くと中々に手強い状態です。

2台あるんですね。
日本人が匙を投げたような奴が輸出されていくのでしょうか?
両方ともいい感じに粗大ごみです。

フューエルタンクの錆落しには重曹と酢を使うようです。
その前にはペイント総剥離されています。

弱い酸でゆっくりじっくり錆を落とすのが良い方法だと聞いたことがあるので、私も酢(酢酸)をタンクに投入しようと考えたことはあるのですが、匂いに耐えられそうもないのでやめました。

2度目の錆落しにはハインツを投入。

こっちは優しい匂いがしそうです。
フルーツ酸の錆落しもたくさん売られていますが、日本のバイク乗りでは燐酸使う人ばかりなのは何故でしょう?



結構金掛けてます。

メッキは掛け直し。
純正排気管やダウンチューブ、ステップブラケット、ラジエターのカバーなども総メッキ。

きっと彼の地ではメッキはお安いのでしょう。

しかしギランギランのマフラーは取り外して、あっさりイリーガルエグゾーストシステムアルファレーシングに。

SDR200.comさんからは外装グラフィックスやらエンジンマウントやら仕入れております。

4か月後にどんな状態になるのかは動画でご確認ください。
1週間前くらいに上がった動画のようですが、再生回数12回。
ヤマハSDR200、超人気ないねw

Yamaha SDR200 Restore&Rebuild – Youtube

SDRフレームメッキの硬度

ヤマハSDR200(以下SDR)に関係した硬度を抜粋。

メッキの硬度を考えた場合、ビッカース硬度やヌーブ硬度では下地硬度に依存してしまうのでモース硬度を選択。
また、JISの鉛筆硬度試験の場合、最高硬度が9Hでモース硬度と比較した場合数値が凡そ半分になる。
となると鉄程度のひっかき硬度しか検討できないため、やはりモース硬度が適当と考えた。

以下モース硬度による比較
錫=1.8
亜鉛=2.5
塗装=2.5(凡そ爪の硬度)
アルミ=2.9
銅=3.0
ニッケル=3.5
ガラスコーティング=4.5(この数値前後)
鉄=4.5
コバルト=5.5
タングステン=7.5
クロム=9.0

モース硬度から見るとSDRフレームのメッキにおいてスズコバ合金メッキが採用されている理由は、装飾的な色味の解決ではなく、物性としての強度を理由とするものと判断できる。

wikipedia コバルト画像
コバルトの単体 – wikipedia
語源は”Kobalos”山の妖精

錫とコバルトの単体色は共に銀白色。
補修の際に錫のみを使用しても表面的な違和感はあまりないだろうと推定できる。
つまりハンダで補修できるだろうということ。

以前説明も何もなく唐突にハンダだけを紹介したことがありますが、まあこういうことです。
以前の投稿 – 鉛フリーハンダ

単にコストだけの問題で選択されたであろうスズコバメッキですが、レストアに於いてこれはとてもありがたい。

ヤマハよくやった!と言いたい。

また、補修範囲が広くなってしまった場合にはverometalという選択肢もあります。
verometalでは銅やら錫やら色々塗れます。
以前の投稿 – verometalなら・・・

と言う訳で、SDRメッキフレームの補修方法としては完全にメッキがやられてしまっている場合を除いて、再メッキでの対応は考えないのが正しい判断と考えています。

だってホームメイドの補修で済むのに高い金使ってやり直す意味って無いやん?


2TV メッキトラスフレーム 1
2TV メッキトラスフレーム 2 – まだ書いてないけど
2TV リヤアーム
各種物質の硬度(モース硬度) – 外部リンク

2TV フロントフォークOH(オペ)

患者を前にして最初に考えることは

1 オイルシール温存術
2 オイルシール全摘術

どちらを選ぶか?

シールがイカレてて、オイル漏れが発生していたなら、これはもう躊躇なく一般的なフロントフォーク分解方法を採用。
更にインナーチューブの錆も多ければ、シールにダメージを与えている可能性が非常に高いので、これはもう確実。

外見上オイルシールの再使用を検討できるなら、ヤマハサービスマニュアル指定方法を選びます。(フォークを押し縮めることでフォークオイルの圧を上げてオイルシールを抜き取る方法。)


通常のオペ方法なら道具も要らないのでハードルが低く、ヤマハ指定方法ならプレス機(もしくは類似のツール/パンタグラフジャッキなどを利用してホームメイドツールを作る)が必要。

にえガレさんでは、足場用短管とクランプで作っています。
SRX250のフロントフォークを、簡易プレス機(?)で分解
長野二輪さんでは落雪防止用金具を使用。
R1-Z(その38・・・フロントフォークオーバーホール)

要はフロントフォーク上下を固定して、パンタグラフジャッキで縮める簡便な機構を作るということですね。

ならば、オイルシールの抵抗を無くしてやれば、ジャッキに頼らなくても良いかも知れない。
ラスペネならどうなんでしょう?
NBR(ニトリルゴム)を攻撃するでしょうか?
変形損失摩擦(ヒステリシスロス)を低減させるために、冷やしてオイル潤滑させてやればするっと外れそう。

他には、エアを吹き込むのはどうでしょう?(ハンドルからグリップを抜き取る際の方法ですね。)
道具を用意したくないために色々考えています。


パーツ点数は多くないし、特殊な工具は基本的に必要ないし、大きなスペースも必要ないので作業難易度は低い筈。
楽に作業するためには以下に留意。

車体(トリプルツリー)に取り付けられた状態でトップカバーは緩めておく。

要は取り外した後であっても、フォークを保持しやすくするものがあれば良いだけなので、予備の三つ又がゴロゴロしている環境では考慮の必要なし。
取り外した方が作業性は良いのではないでしょうか?

次はプラグの供回り。

内臓を摘出しないでボルトを回せば、スプリングにテンションが掛かっているので基本的には供回りは回避できる。
ネジロックも塗布されているボルトなので、ラスペネを吹きかけておいて一気にエイっと緩めてしまいます。
それでも回ってしまったら、回り止めを使用しなければならない。

ワコーズ ラスペネL 420ml 1,279円(税込)


ヘキサゴンボルトの締付トルクは3.0kg・m 要ネジロック
ホンダの締付トルクは1.5~2.0kg・mというのを見たことがありますので、かなり強く締めることになるようです。

ねじロックは規格で強度が色分けされています。
分解してみるとヤマハ(に限りませんけど)では青いねじロックの痕跡が見られます。
※低強度(紫)、中強度(青)、高強度(赤)
赤を使うと工具での取り外しは困難なようですから除外。

ヘンケル/ロックタイト クイックテープ 中強度 6.6m/249-6 2,263円(税込)
ロックタイト スレッドロッキング スティック 中強度 248 1,836円(税込)
デイトナ Permatex ネジゆるみ止め剤(ジェル状) 中強度 10ml 1,728円(税込)
Permatex ネジロック(液状)チューブタイプ 中強度 970円(税込)
ロックタイト ねじゆるみ止め剤 中強度 243 10ml 590円(税込)

色々ありますね。
価格は、液体<ジェル<スティック<テープの順になります。
プロじゃないし、そんなに使わない訳ですから、ただのロックタイト液状が安くて良い感じですね。
でも使い勝手はジェルが良さそう。

最後にオイルシールの養生。

ビニールやサランラップなどをインナーチューブに噛ませて、シールを打ち込む際に傷が付くことを防ぐ。
シールに傷が付いてしまえば、交換の意味は全くなくなってしまうので、ここ重要。
インナーチューブ自体にもフォークオイルを塗っておくのも忘れずに。


フロントフォークスプリング自由長373.5mm(使用限度368.0mm)

オイルシール打込み特工
通常の素人は適当な塩ビパイプを使用します。
バイク屋さんじゃなきゃ要らないでしょう。

今の所、百均のコロコロ(詰め替え用)が一番良さそう。
もう少し細いの探し続けます。

ヤマハ純正 Fフオークシール Dウエイト(MC) 90890-01367
ヤマハ純正 Fフオークシール Dウエイト(MC) 90890-01368

ヤマハ スペシャルツールリスト(PDF)

ここが一覧で見られて分かりやすいです。
フロント周りの分解とフォークオイル交換 – 原付・ライド


2TV フロントフォーク
2TV フロントフォークOH(準備)

Permatex® Anti-Seize Lubricant

A highly refined blend of aluminum, copper and graphite lubricants. Use during assembly to prevent galling, corrosion and seizing due to weathering or chemicals. Anti-Seize assures easier disassembly. Temperature range: -60°F to 1600°F (-51°C to 871°C). Salt, corrosion and moisture resistant – ideal for marine use. Non-aerosol version meets Mil Spec #907E. Aerosol – Level 3*


パーマテックス アンチシーズ。
ワコーズスレッドコンパウンドと同じ目的のグリース。
ボルトの齧り焼き付き、腐食防止、バックプレートに塗布して、ブレーキ鳴き止め剤としても使用可能。
プラグへの塗布は賛否両論。
スレコンだと余りそうなのでアンチシーズを選ぶ。

温度範囲/-51℃~871℃

WAKOS スレッド コンパウンド V170 100g 2,052円(税込)
PERMATEX アンチシーズ40615 1本(28g) 1,501円(税込)
※現在在庫切れだけど、ここなら800円弱 – アンチシーズ 1oz(28g) – PARTS DEPOT

シューグーは単車修理の万能素材

自分がこれを初めて使ったのは、やたら高いズックを買って、減った底を何とかしようとした時だから30年以上も前の話になる。

やたら高いズックというのはコンバースのオールスターのことなのだけれど、当時地元では1万円を超えていた記憶がある。
周りは980円のテニスシューズという名のズックを履いている時分のことで、とてつもない高価な物でありました。
やたら高いと言えば、トランプ大統領が”BUY L.L.bean!”と吠えるLLビーンのトートバッグ(ボート&トート)は2万近かった。
それが今では・・・。
関税と中国生産いうのは凄いもんだわと思います。

しかし売っているだけマシなもんで、その直前までは通信販売以外の方法で入手不可能でした。
そこに店ができて、よしよし我が中学で1番にコンバースオールスターを履くぞ、来週にでも買いに行くぞと心に決めていた自分の目の前に、輝くオールスターを履く奴が・・・。
仕方ないので初めてジャックパーセルを履く男になってやりましたよ。

で、シューグーの話。
実際の所、靴底に使うにはあまり良くはなかった。
でもまあ、今となっては単車修理に於いてはワイヤーケーブルのブーツ切れなんかにはとても重宝しますね。
目立たず強度もそれなりにある。


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